kagamihogeの日記

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中国の危ない食品―中国食品安全現状調査

書名の通り、中国人ジャーナリストが中国の食品事情について調査した本。中国からの輸入品は結構ヤバいんでないの?という報道がここ数年で増えてきている。web 上では アジアの安全な食べ物:中国の7色に輝く河川と食品 - livedoor Blog(ブログ) 等、危険性はかねてから指摘されていた。

本書はその辺りの事例と解説集といったところ。

ただ、著者がこの本を通して日本の読者に伝えたいのは中国の食事情のヤバさだけではないようだ。

中日両国は地理的には欧米諸国よりずっと近いにもかかわらず、両国の民衆のあいだにある疎遠さ、あるいは行き違いの度合いは欧米以上のものがあるように感じます。
(中略)
私は、中国の現行制度下における食品安全はどのように形成されてきたかを、読者とディスカッションしたかったのです。
(中略)
情報が政府を通した単一なものであることが、中日両国民が充分に理解しあえないという現状をもたらしました。この本を通して、私自身がささやかな「遣日使」となれることを熱望しています。

中国の危ない食品―中国食品安全現状調査 日本語版への序文―われわれの未来を奪い返すために より

「食」を通して中国とはどんな国なのか?どのような状況におかれているのか?を解説する一冊に仕上がっていると思う。中国行政の腐敗ぶりとそれがどのようにして形成されたか、食の歴史を通しての国民性の解説、食の安全を盾にした貿易戦争の実態…などなど。まぁ中国は良くも悪くもスケールがデカいので、すべてを一冊で語るのは無理だろうけど、「食」という、人であればどうしたって注目せざるを得ないテーマを中心にしている点が面白い。

近くて遠い他人を知るための良い入門書になったと思う。

中国の危ない食品―中国食品安全現状調査

中国の危ない食品―中国食品安全現状調査