20% ルールやらおかし無料配布やらページランクがどーのやらと話題にことかかない Google について様々な角度から述べているスゴイ一冊。本書は、Google が公開している論文やデータを、著者の見解や分析を交えつつまとめ直したもの。カバーしている範囲はハード面からソフト面まで多岐に渡り、抽象度も低いとこから高いとこまで触れているので、読みこなすのはかなり大変だと思う。実を言うと俺自身がそうで、半分も理解出来ているかどうか……自信がない。そのため、著者の幅広い見識と卓越した文章構築技術には畏敬の念を禁じ得ないです。
本書が触れている範囲を区分するとおおよそ 4 つ。より良い結果を得るための検索エンジンの仕組み、システムがブッとんだり停止しないようにするための分散技術、データセンターとか電力がどうとかの物理的な側面について、一つの生態系と思えるほどの自律的な要素を持つ開発体制。いやもう、膨大な文献を漁っておいてなお、よくこの厚さにまとめたよなぁ、と驚愕する他ありません。
改めてこの本を読むと Google のスゴさが良くわかる。検索エンジンの仕組みや分散技術の解説で出てくる一つ一つの概念/技術/思想は、そのテの大学出てれば誰でも知ってる単純なものが結構出てくる。その、個々はシンプルなモノたちをこうも圧倒的なスケールで組み上げていくと、もうバケモノとしか言いようの無い代物が出来てしまうのか、ってことにもうホント驚くしかない。
そういう意味で、Google はコンピュータサイエンスの最先端を理論面でも実践面でもいってるんだろうな、と思う。情報科学に限らず、まぁ科学ってヤツは何でもそうだと思うんだけど、地道な積み重ね―それもガイキチ染みた勢い―でここまでの高みに至れる、ってのは……驚愕の一言です。
Google ってスゲーよね、って言われるけど実際どうなん? と思う人にオススメの一冊です。是非、コンピュータサイエンスの息吹をご堪能あれ。
Googleを支える技術 ?巨大システムの内側の世界 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ)
- 作者: 西田圭介
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2008/03/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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