本書は題名どおり、デザインパターンとともに OOP の原則について解説している本だけど、真価はそこには無い。最大の特徴は、誤ったオブジェクト指向についての理解に対する分析と解説にある。手続き型なやり方の特徴と限界を踏まえた上で、OOP の利点について触れる構成は、OOP の学習を根本からやり直している俺にはものすごく有益な内容だった。
本書を読んでる最中は苦笑しまくりだった。なんでかっていうと、筆者が OOP やデザインパターンに取り組んで失敗した経験のことごとくが俺も踏んだ地雷だったから。まさに 俺がいる という 2ch 的な言い回しがしっくりくる内容ばかり。自分の OOP の理解がどう間違っていたかのふりかえりしようと思ってたけど、この本でほとんど言い尽くされてる感がある。
一年とは言わない、半年前でいいからこの本読んでおけば、あのデスマの最中でももちっとマシなコード書けただろうなぁ……と悔やまれる。
手続き型のやり方に染まりすぎて OOP の利点が今一つわかんね、って人は読むべき一冊。
あなたは以下のような謳い文句をどこかで聞いたことがありますか?
・オブジェクトとはデータと振る舞いを持った「もの」である
・カプセル化とはデータを隠蔽することである
・オブジェクト指向言語では継承を使用することによって再利用が促進される(差分プログラミング)
・オブジェクトとは現実世界における実体であるため、名詞と動詞を抽出することで適切なクラス設計を行うことができる
この本は本来あるべきオブジェクト指向設計においてはこれらが適切ではないということをデザインパターンを使って解説しています。
上記の「謳い文句」に少しでも疑問がある人なら今すぐワンクリック注文して損はしないと思う。
デザインパターンとともに学ぶオブジェクト指向のこころ (Software patterns series)
- 作者: アラン・シャロウェイ,ジェームズ・R・トロット,村上雅章
- 出版社/メーカー: ピアソン・エデュケーション
- 発売日: 2005/09/16
- メディア: 大型本
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