kagamihogeの日記

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日本語作文術

まぁまぁ読みやすくそこそこの長い文章を書けるようになるためにはどうすればいいか。俺の場合は、理科系の作文技術がひとつの契機だった。そのため俺は、他人に作文技術の向上について聞かれた際、理科系の作文技術を薦めるようにしている。しかし、これは少々古い本なので読み辛さがあるのは否めない。そこで本書の登場である。2010/5 発売と新しく現代人にも読みやすく書かれている。そして何より魅力的なのは、本書の作文技術論は非常に実践的かつ分かりやすい。作文技術の向上について何か良い本がないか聞かれた場合、しばらくは本書でキマリでしょう。

本書のコンセプトは達意な実用文を書けるように読者を導くことにある。達意とは、その文章で伝えたいことが 100% 伝えられる文章のことを指す。本書で言う実用文とは結構広い概念で、レポートや論文など特定の状況下を想定してのものではない。強いて言えば、他人が読むことを前提に書く文章全般、といったところだろうか。

本書のアドバイスをまとめると、文章に一定の「型」を作るところにある。これは、人によっては若干押し付けがましく感じられるかもしれない。型にはまった文章というと、個性の無さというか、何となく悪い印象を受ける。しかし、型は読みやすさに直結する。なぜなら、文章の構成に一貫性があると読者の混乱は最小限に抑えられるからである。例えば、マックの店員はマニュアルという型通りの対応することで客の負担を最小限にする。それと同じで、型重視の文章は読者の負担を軽くし、結果として読みやすい文章になる。今読んでいる段落は何に焦点をあてているのか、その次にどんなことが書かれるのか……良い意味で読者を裏切らないこと。それがわかりやすい文章に繋がる、というのが本書の主旨である。

それで具体的な技術の詳細はどうなのよ、ってとこだが、少なくとも俺はかなり説得力を感じた。俺はこれまでの blog での経験から、こうすれば読みやすくなるっぽい、こうすると分かりやすいっぽい、とかなり漠然とした形ではあるが作文技術の蓄積は俺にもあった。そこで本書の登場になるのだが、そうしたモヤモヤ感を軽く吹き飛ばしてくれた。俺がなんとなーく感じていたことが、素晴らしく具体的に言語化されている。短文を使え、結論を先に、中核・補強で段落を構築せよ。ひとつひとつのアドバイスはシンプルながら、それらが集積することで非常に強力な作文技術になる。まさしく達意な文章で綴られる、達意な文章を書くための文章。俺にとっては頷けることの多い箇所ばかりの本でした。

文章書くの苦手だよねっていう初級者はともかく、文章の書き方ってヤツが何となく掴めてきたぜーっていう中級者の技術をより磐石なものにするのにも使える一冊です。

日本語作文術 (中公新書)

日本語作文術 (中公新書)