kagamihogeの日記

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それでも脳はたくらむ

脳科学者・茂木健一郎氏が読売ウィークリーに連載していたエッセイをまとめて本にしたもの。脳についての短編集といった体裁になっている。内容は、著者が経験した色々な体験を軸にして、脳とは一体何なのか? を考察している。

最近俺も興味深い話を聞いた。書籍感想からは少し離れてそっちのことを書いていきたい。

トンビはタカをうまない

帰省すると大抵母と、姉夫婦に生まれた子供―俺から見て姪―についての四方山話になる。今年の正月で印象に残ったのが「トンビはタカをうまない」という話。

実際にこの発言をしたのは母ではなく、母の趣味友達の一人。そして、その友達は元教育関係者だというから興味深い。教育者としては表向き皆平等と言うものの、本音はこっちなのだろう。まぁ、なんというか、アレな親からはアレな子が生まれる傾向にある、といった意味である。
参考: モンスターペアレント!?―親バカとバカ親は紙一重 (まだ読んでないけど)

その方曰く「東大に入れるような子は東大卒の親なことが多く、そうでない親を持つ子は東大には入れない」と。勉強しない親からは勉強しない子が生まれる傾向にあるという。親から子に受け継がれるのはアトピーだとかアルコール耐性だとかの身体的特徴がクローズアップされがちだけど、思想や行動様式もまた「遺伝」されるらしい。

性格は環境や学習で如何様にでも変化するじゃないか、と言う意見も最もな話。しかし、母の話を聞いていると性格なども遺伝するのかもな、と思う。姪が今 3, 4 歳なのだけど、後天的な要因である学習や環境に影響されて獲得した形質とは思いがたい行動をする。

姪は、他人からはイマイチ理解できないことに対して異様に執着することがある。あるオモチャの色が赤でなければ嫌がる、A の遊びは母とのみ、B の遊びは祖母としかやろうとしない。この辺りは可愛いものだが、靴を履くときに右は母、左は祖母にやって貰わないと物凄い勢いでぐずる、というのには少々驚いた。

この妙なこだわり様は姪の父親に本当に良く似ているらしい。実際、彼は「なんというこだわりよう……これは間違いなく俺の娘」と発言したとかなんとか。親バカでそう見えてるだけかもわからんけど。

単なる子供の我侭にも見えるし、母曰く「幼稚園などで集団生活を続けると次第に直るもの」とのことなので、一時的なものなのかもしれない *1

3, 4 歳の子供が、学習によって生みの親に「俺の娘」と言わしめるほど似た行動を取れるようになるとは中々思えない。となると、身体的特徴と共に精神的特長もまた親から受け継がれるものなのかな、と思う。要するに「トンビはタカをうまない」ということになる。

無論「あの親から生まれたから俺はこんな性格なんだ」と短絡的に決め付ける気もない。性格の形成は多様な要素から構成される複雑なシステムであり、遺伝のメカニズムもまた同じだろうしね。

姪のたくらみ

いやまぁ、姪が自発的になんかたくらんで妙なこだわりを見せてるとは思わないけど。他人には理解しがたい事象にやたらとこだわる性格は、他者とのコミュニケーションにおいて不利になりがちなので、もし性格も遺伝するのだとしたら、なんでまたわざわざ不利になりそうな形質を選ぶのかはちょっと不思議に感じる。

もちろん、どんな形質が有利になるかは時代や場によって異なるのだから、不利と感じるのは主観的にはそう見える、というだけなんだけど。特異なケースではあるけどサヴァン症候群なんてのもあるし。

いずれにしても、靴なんかどっちから履いても同じじゃん、と思う俺と姪とでは見えている世界が異なっている。姪の脳が何をたくらんでいるのかは知る由も無いが、同じ人間なのになんとも不思議な話である。

姪の小さな頭はこれから何をたくらんでいくのか……今後の期待大である。

それでも脳はたくらむ (中公新書ラクレ)

それでも脳はたくらむ (中公新書ラクレ)

*1:あまり意味の無い行動にやたらと執着するあたり自閉症の可能性も疑ったようだが、今のところ検査結果は問題無いようだ