kagamihogeの日記

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十七歳の硫黄島

映画「父親たちの星条旗 | 硫黄島からの手紙」で(たぶん)一躍有名になったと思われる 硫黄島の戦い - Wikipedia、その過酷すぎる戦場からの数少ない生還者である「秋草鶴次」さんの著作。

とにかく描写がエグい。正直、俺程度が感想書ける本ではないな、と思った。

文体が古臭いし、文章に技巧があるわけではないので読み辛い。読み辛いのだが、ヒトの限界を軽く超越した体験を、とにかくただひたすらに書き残そうとしたであろうこの本は恐ろしすぎる。

俺は戦争なんてもちろん知らないし、生きるか死ぬかの瀬戸際の極限状態に立たされたこともない。だから、本当にそんなところで人は生きられるのか?という情景をほとんど想像することができなかった。ただ、洞窟の奥に積み上げられた死体の山から燐と思しき光が立ち上るシーンや、(※特に食事中の方に配慮→)傷口に沸く蛆虫や汚れた体に這い回る蚤・虱を食べてなんとしても生き残ると回顧する・・・そういう、俺の現実を遥かに越えた時代を生き抜いてきた秋草鶴次さんの文章だけが酷く印象に残っている。

「あの戦いは何だったのだろうか。どうすれば死んだ者に報いることができるのか」という問いの重さであろう。

(中略)

「どんな意味があったか、それは難しい。でもあの戦争からこちら六十年、この国は戦争をしないですんだのだから、おめえの死は無意味じゃねぇ、と言ってやりたい」

十七歳の硫黄島 (文春新書) おわりに より抜粋

十七歳の硫黄島 (文春新書)

十七歳の硫黄島 (文春新書)