タイトル通り、サブプライム問題について解説した一冊。複雑で必ずしも目に見えた動きがあるわけではないマネーの流れは理解のしにくい分野である。しかしながらサブプライム問題が代表的であるが、そうした不可視の金の動きが現実世界に住む我々の暮らしにも色々な影響を与えることがわかってきた。そこで先ずはと手に取ったのがこの一冊。
本書の特徴は、サブプライム問題が様々な要素が折り重なって発生した、その複雑な過程と仕組みをなるべく平易に解説した点にある。とはいえ俺自身ちょっと理解の追いつかない箇所もあったものの、別にその筋で生きているわけではないので、大枠があっていればそれでよい身には充分でしょう。
サブプライム問題は、アメリカの住宅ローンから始まり証券化とそれが国境を越えて一機に拡がっていくことから始まる。更にはアメリカ国内の事情である、国民の住宅に対する考え方や借金をベースにした消費姿勢も背景事情にあることも触れられる。この本の良い点の一つ目が、サブプライム問題が発生したメカニズムの構成要素一つ一つを丁寧に解説していること。二つ目が、サブプライム問題の爆弾が破裂する前夜から炸裂直後とその後の進展という時間軸に沿って解説していること。ある種のリアリティを伴いながら語られる恐慌状態の様子は読み物としても十二分に面白いレベルである。
サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 (宝島社新書 254)
- 作者: 春山昇華
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2007/11/09
- メディア: 新書
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