kagamihogeの日記

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北方領土問題―4でも0でも、2でもなく

ネットに慣れ親しんでいる身だと、どうしてもいわゆるネット右翼的な言説ばかりに目がいきがちである。その言説がどういうものかといえば、北方領土は日本固有の領土である、というもの。俺は実際んとこその内容にどの程度の妥当性があるのかわからないのだけど、まぁやっぱり日本国民の一人としては、四島は日本の領土論が正しいんじゃないの、と考えていました。ただ、そうはいっても日本固有の領土論の正しさにはなんとなく疑問があったのは確かなので、書店でこの本を見たときタイトル買いしてみました。オビの「ロシアの言い分を知らずに戦えるのか」に見事に煽られたとも言えますがw

まず、俺は本書の内容を半分も理解できたかどうか怪しい。その要因のひとつは、俺は北方領土問題に関する基礎知識がほぼ無いこと。もう一つは、書いてある内容のロジックが俺にとっては難解だったこと。恐らく、政治的な問題を専門に論じている本は本書のような論調なんじゃないかなと。なので、そのテの本や論文を読みなれてないと本書をちゃんと読み解くのは難しいんではないでしょうか。

それはそれとして、俺が理解できた範囲内で書籍感想を書いておきたい。それで、本書を読み解くキーワードは「フィフティ・フィフティ」である。額面どおり読めば「半々」というわけだが、じゃあ北方四島も2:2なのか、というとそういうわけではない。本書の著者は、長年中国とロシアの国境問題をウォッチしており、その問題解決に両国がフィフティ・フィフティという方法を結果として採った点に注目している。そして、その方式を日本とロシアにも適用できないか、という考察にほとんどの紙幅を割いている。

もちろんそれだけではなく、これまでの日本とロシアの北方領土に関する歴史的な経緯、北方領土近辺の漁業問題など昔は色々いざこざあったが今は割りと落ち着いていることや、日本とロシアの世論、日本とロシアの中でも北方領土の問題が身近な課題である人とない人とでは意識に差があること、日本とロシアの政治家は北方領土に関してどのような立ち回りを演じてきたのか、などなど、多角的な視点からも領土問題を論じている。

北方領土問題―4でも0でも、2でもなく (中公新書)

北方領土問題―4でも0でも、2でもなく (中公新書)