ここんとこ諸般の事情から Java の勉強から遠ざかっており、復習と色々思い出す意味も込めて本書を手に取った。250 ページ程度のサラッとした本ではあるが、意外にも得るものが多かった。
本書はタイトル通り Java で読みやすくバグの出にくいコードとはどういうものか? を豊富なサンプルコードを通して解説したもの。一つ一つのルールについて、ダメな例とダメな場所を改善したコードをセットに語っているのが特徴である。個人的な感触でいえば CODE COMPLETE 第2版 上 の Java 版といったところ。さすがにあのブ厚い本ほど網羅的ではないが、要点はしっかり抑えているので、ダイジェスト版とでも言うべきだろうか。知ってる人にとってはごくごく当たり前のことが書かれているので、Java 上級者にとっては読む価値はそれほど無いかもしれないが、Java をサラッと手っ取り早くおさらいしたかった俺にはジャストフィットでした。
また、本書の特徴として随所に Java5,6 ではこうするべき、という箇所がある点を挙げておきたい。Java5,6 以降で盛り込まれた言語機能はともかく、知っておくと便利な API は意識的にキャッチアップしてかないと知らないままになってしまいがちなので、これは素直に有り難かった。無論、便利な API は知らなくても開発は出来る……けれども、こういう細かい工夫の積み重ねが、読みやすく、そしてバグの出にくいコードに繋がる。ゆえに、中々に侮れない。
もう一つ素晴らしいのが、マルチスレッドに章を割いているところ。具体的には java.util.concurrent パッケージの使用法になるのだけど、恥ずかしながら、俺、コレアンマリ知らなくてですね……紙幅はさほど割いてはいないけれど、とりあえず最低限知っとくべき事項は抑えられているように見える。これまでは Web アプリでマルチスレッドプログラミングを明示的に使う機会(APサーバ側の挙動はともかくとして)はそんな無かったわけだけど、これからの時代を見据えると並行プログラミングの技術はどーも不可避っぽい。なので、さしあたっての知識の補完に大変役立ちました。無論、もちょっと深いことこは Java並行処理プログラミング ―その「基盤」と「最新API」を究める― とか読まないとダメなんでしょうけど。
それと、最後に使用頻度が高く効果の高い Eclipse のショートカット集が収録されているのも心憎い。ちょっと検索すれば出てくるものとはいえ、これを最後にしれっと載せるあたり、著者陣に対して「Java ワカッテルワー」と畏敬の念を抱かざるを得なかったです。
- 作者: 大谷晋平,米林正明,片山暁雄,横田健彦,電通国際情報サービス
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2011/02/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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