kagamihogeの日記

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現代アートを買おう!

俺は別段芸術科とかそういう所を出たわけではありませんが、近頃何かと気にかかるワードの一つが現代アートなるもの。かといって何か芸術活動をしてるわけでもなく、美術館に毎週足しげく通っているというわけでもないニワカです。そんな輩なので、書店に平積みされていた本書のキャッチコピー「小遣いではじめる現代アートコレクション入門!」に全力で釣られて読んでみた。このコピーはちょっとキャッチャーが過ぎる表現だとは思いつつ、著者の現代アートに対する愛がふんだんに盛り込まれ、著者自身の体験談をおもしろおかしく挟み込み、実際に現代アートを購入する際の指南書ともなっている良書でした。

ところで、そもそも現代アートって何なのか、という話ですが。まずそこからという場合には 現代アート入門の入門 - kagamihogeのblog がオススメかと。本書は買うための本であって現代アートを語る本ではないので、定義についてはサラッと触れているのみ。けれど、恐らく本書の下記の一文が色んなことを圧縮して表現していると思います。

「人々がお互いの違いを認識し、共存していくためのヒントまたはツール」

現代アートを買おう! (集英社新書) p.3 はじめに より抜粋

それはともかくとして、芸術作品を金で買うなんて「でもお高いんでしょう?」というのが率直な感想ではなかろうか。本書読んだ限り、やはり良い物は高い、という傾向がある気もしつつ、日本人の若手作品なら数万レベルで良いものが買える、というのが著者の一つの見解のようだ。じゃあどこで買うのかとか他の入手経路は無いのか等に関しては、続きは本書で、に留めておきたい。

ところで本書の p.99 からの「美術の女神は自ら助くる者を助く オーバー年収の作品購入顛末記」ではちょっと引くぐらいの勢いでとある作品の買いつけに走った著者のエピソードが紹介されている。草間彌生作の「無限の網」という油彩なのだけど、本書に掲載されている写真を見たとき「こんな気持ち悪いものによくもまぁ……」としか思わなんだ。真っ先に連想されたのが蓮コラ*1な辺り分かる人には分かって頂けるのではなかろうか。そこで著者はというと、

「気持ちが悪い」という気分に近いのですが、翌日になるとまた見に行きたくなる、というか見ずにはいられない、そんなパワーを持った作品でした。

現代アートを買おう! (集英社新書) p.102 美術の女神は自ら助くる者を助く オーバー年収の作品購入顛末記 より抜粋

奇しくも自分と似たような印象を持ったようだ。ただし、でも別にお金出して欲しいとは思わないなーとなるのが自分なわけですが。それが実物を見たかどうかの違いか、審美眼の年季の違いかどうかは分からないけど……きっと両方ですよねー。

ただなんというか、これは 現代アート入門の入門 - kagamihogeのblog では「まず、好きなものを好きといえるようになろう」と主張されており、本書でも似たようなことが書かれている。なので「気持ち悪い」と感じたことそのものは、そう捨てたもんじゃないのかなーなどと思うのでした。

現代アートを買おう! (集英社新書)

現代アートを買おう! (集英社新書)

P.S. 当 blog は一方通行で 破滅的なアレ をおうえんしています。

*1:代表的なグロ画像の一種。精神的ダメージを与える可能性が高いので、死体画像などグロ画像に耐性の無い方は検索しないよう警告致します。