FLASH OOP for ActionScript 3.0 - kagamihogeの日記

OOP と書名にあるけど OOP の本とはちょっと違います。OOP そのものの本ではなくて、OOP を使う側の本です。ActionScript は 3.0 になってから OOP の概念をふんだんに盛り込み始めたため、2.0 以前とは色々な部分が変化している。OOP そのものでなく、OOP の概念を取り込んで発展した ActionScript の恩恵を受けるため or 使いこなすための本です。本書にも書いてあるけど、本格的な OOP を学ぶためには別途書籍何なりを参照せよ、とあります。なので OOP について学びたい人にはちょっと不向きな本です。また、本書は入門書の性格は持ち合わせてないです。後で書くけど、何かしら開発経験ある人向けの本です。

だからといって本書が役に立たんかというと、役に立つことが色々書いてあります。オビのアオリ文句「こんな人に便利な一冊です。」はこんな感じなのだけど、おおよそその通りだと感じました。

・ActionScript 1.0, 2.0 を使用している Flash ユーザー
・ActionScript 3.0 の活用法を知りたい Flash デベロッパー
・ActionScript 3.0 での開発を学びたい Java などのデベロッパー
FLASH OOP for ActionScript 3.0　オビより抜粋

とまぁ、デザイナなりプログラマなり何らかの開発・作成経験がある人で、ActionScript 3.0 ってどうよ的なことをざっと知りたい人向けの本です。俺の場合は Flash CS とかのデザイナ向けツール使った経験は無いので、オビの売り文句的には二番目と三番目が該当するのだけど、得るものは色々ありました。

でまぁ、どんなことが書いてあるかは目次引用しちゃったほうが早いので引用してしまう。

Part1 概念
第 1 章ゼロからはじめる OOP
第 2 章 ActionScript 2.0 から 3.0 へのガイド
Part2 開発環境
第 3 章開発環境
Part3 言語比較
第 4 章 C# と ActionScript 3.0
第 5 章 Java のライブラリを移植する（JUnit4 & AS3Unit）
Part4 設計・開発手法
第 6 章大規模開発から学ぶ Flash 構築
第 7 章ドラゴン曲線を描くライブラリのつくり方
第 8 章 ActionScript 3.0 で画面遷移フレームワークを開発する
Part5 実践
第 9 章 3D ライブラリの比較と Papervision3D でのコンテンツ制作
第 10 章物理エンジンを使ったゲーム
第 11 章 Flash で動かす地図サービス
第 12 章バイトコードが扱えるメリット
第 13 章 ActionScript 3.0 とサウンド表現
第 14 章 PNGEncoder による画像生成
第 15 章外部デバイスと ActionScript 3.0 の連携
第 16 章 AIR でつくるデスクトップアプリケーション
FLASH OOP for ActionScript 3.0　目次より抜粋

とまぁ、AS2->3 移行ガイド、Java とか C# とかいわゆる業務で良く使われる言語との比較、業務アプリの文脈で AS3 を使用することを念頭に置いた設計や開発手法の話、Flash らしいインタラクティブ性の高いアプリの作り方のヒント、などなど話題は幅広いです。なので、lash CS なんかを使うデザイナさんから AS3 で開発を行いたい Java/C# プログラマまで役に立つ一冊だと思います。無論、個々の章に関しては網羅的な内容なのでより深く知る場合には別途書籍なり実験なりが必要ですが、そのことは本書の価値を下げるモンではないでしょう。

本書の感想からちと脱線するけど。いやしかし、Flex の開発は楽じゃないよなぁｗ　クライアント側で色々とやれるようになるのはメリットだけど、やっぱりその分考えてやらにゃならんことが増えるわけで。それに、元々 Flash ってのは業務アプリの文脈で使われてたわけじゃないんで、業務アプリにフィットさせたり、逆に Flash の良さを活かしたアプリ制作つーことを考え始めるとなかなかきついもんがあったりなかったり。あと、業務アプリだとサーバサイド連携が必然なので、そこも考えると……中々悩ましいとこです。

ただまぁ、このテのリッチクライアント系な業務アプリのノウハウやらベストプラクティスやらが流出するのはこれからだろうし。しばらくは手探りでやらにゃならんとしても、そんなに悲観するこたないのかもわからんねー。