Apache Shiroのチュートリアルの一部でAuthenticationに関する部分の https://shiro.apache.org/java-authentication-guide.html をテキトーに訳した。
Java Authentication Guide with Apache Shiro
認証とは本人確認のプロセスです。アプリケーション側ではユーザが自身を誰と言ってきているのかを確認します。確認のためには、アプリケーションシステムが理解できる形式かつ信用する、本人確認用の何かをユーザは提供する必要があります。
このガイドの目的はJavaでの認証をShiroで実行する方法の概要を示すことです。Shiroの10 Minute Tutorialをまだ読んでいない場合はまずそちらに時間を取り、Shiroの基本的知識を身につけてください。
Terminology you’ll need
- サブジェクト(Subject) - アプリケーションユーザのセキュリティ視点でのユーザの'ビュー'。サブジェクトになるのは、人間・サードパーティプロセス・アプリケーションに接続してくるサーバ・cron job、など。基本的に、アプリケーションと通信する人やモノのことを指す。
- プリンシパル(Principals) - サブジェクトで識別される属性。姓・名・社会保障番号(social security number)・ユーザ名など。
- クレデンシャル(Credentials)- 本人確認に使われる秘密データ。パスワード・生体データ・x509証明書、など。
- レルム(Realms) - セキュリティ固有のDAO、いわゆるdata access objectで、バックエンドのデータソースにアクセスするソフトウェアコンポーネント。たとえばLDAPでユーザ名とパスワードがある場合、LDAPにアクセスするLDAP Realmを作ることになる。開発者に必要な作業はバックエンドのデータソース毎にレルムを作成することで、Shiro側でそれらのレルムを呼び出しします。
How to Authenticate in Java with Shiro
Shiroフレームワークとその他の同目的のフレームワークで、Javaの認証プロセスは三つの個々のステップで構成されます。
Steps
以下にShiroでこれを行うためのコードを具体的に示します。
Step 1 - Collect the subject’s principals and credentials
//最も一般的な例。 //文字列のユーザ名とパスワードをシステム固有の方法(HTTPリクエスト・GUIなど) //で受け取る。 UsernamePasswordToken token = new UsernamePasswordToken( username, password ); //”Remember Me” built-in, just do this: token.setRememberMe(true);
上記のよくある場合の例では、UsernamePasswordTokenというクラスを使用しています。このクラスはShiroで最も使われている認証トークンです。
Javaアプリケーションで何らかの方法で受け取るユーザ名とパスワードを紐付けるのにこのトークンを使用します。webフォーム・HTTPヘッダー・コマンドラインなど経由でユーザ名とパスワードはサブミットされます。Shiroは、受け取り方については関知せず、プロトコルとは無関係です。
上記の例では、アプリケーションがユーザを保持するようにしています。トークン生成後、'Remember-me'をtrueにすることでShiroの組み込み機能を使用しています。この機能を使うにはトークンのsetRememberMe() を呼びます。
Step 2 - Submit the principals and credentials to an authentication system.
上記のステップでトークンに情報を入れてユーザを記憶するよう設定しました。次のステップは認証プロセスで、ここで認証システムにトークンをサブミットします。認証システムをShiroで作るには、セキュリティ用のDAOであるRealmsを作成します。レルムの詳細についてはShiro Realm Guideを参照してください。
Shiroでは、この部分をなるべく平易で素早く作れるようにしており、一行のJavaコードで作れます。
//Shiroではたいていの場合、サブジェクトには現在実行中のユーザを取得したいことと思われます。 Subject currentUser = SecurityUtils.getSubject(); //ログインメソッドにユーザ名とパスワードのトークンを渡すことでサブジェクトを認証する。 currentUser.login(token);
まず、サブジェクトの形で現在実行中のユーザを取得します。サブジェクトはユーザのセキュリティ視点でのビューで、人・プロセス・cron jobなど、が該当します。Shiroでは、現在実行中のスレッドに利用可能なサブジェクトが常に存在します。サブジェクトの考え方は、Shiroおよび同種のフレームワークのコア部分で、サブジェクトに関する処理が中心となります。このサンプルでは、サブジェクトのインスタンス名をcurrentUserとしています。
サブジェクトを得るには、ShiroのコアAPIの一つSecurityUtilsを使います。getsubject()
で現在実行中のユーザが得られます。そのメソッドにより、システムとやり取りする現在のユーザを表すサブジェクトインスタンスが得られます。この時点では、サブジェクトcurrentUesrはアノニマスです。ユーザ固有の情報は何も関連付けられていません。
これでユーザが得られたので、login()
を呼び、Step 1で作成したトークンをサブミットすることで、認証を行います。
Step 3 - Allow access, retry authentication, or block access
繰り返しになりますが、ここでは一つのメソッドを呼ぶだけです。login()
メソッド呼び出しが正常終了する場合、ユーザはログインしてユーザアカウントやユーザ固有の情報と関連付けられます。その後は、ユーザはアプリケーションで使用可能となり、このサンプルでは"Remember Me"をセットしているので、セッション継続中はユーザ固有の情報を保持し続けます。
認証処理中に何らかの理由で失敗した場合はどうなるのでしょうか。パスワードを間違えたり何度もシステムアクセスするとアカウントロックされるのでしょうか? そのような場合、Shiroは例外をスローします。Shiroには豊富な階層の例外が用意されています。
try { currentUser.login(token); } catch ( UnknownAccountException uae ) { ... } catch ( IncorrectCredentialsException ice ) { ... } catch ( LockedAccountException lae ) { ... } catch ( ExcessiveAttemptsException eae ) { ... } ... your own ... } catch ( AuthenticationException ae ) { //unexpected error? } //No problems, show authenticated view…
メソッド呼び出しをtry/catchブロックでラップしてすべての種類の例外をキャッチし、それぞれに応じた処理を行えます。Shiroが提供する多数の例外だけでなく、必要に応じて自前のカスタム例外を作成できます。詳細についてはAuthenticationExceptionを参照してください。
Handy Hint
セキュリティのベストプラクティスに、ユーザにはログイン失敗の詳細を見せない、というものがあります。これはシステム侵入を目論むアタッカーに情報を与えないためです。
“Remember Me” Support
上述のサンプルで見た通り、Shiroは一般的なログイン処理に加えて"remember me"の概念をサポートしています。
Shiroでは、SubejctオブジェクトはisRemembered()
とisAuthenticated()
の二つのメソッドをサポートしています。
“remembered"状態のサブジェクトは(アノニマスでは無い)識別状態とプリンシパルと呼ばれる識別属性を持ち、プリンシパルは以前のセッション中に正常終了した認証処理で保存されます。
認証サブジェクトとは、現在のセッションにおいて本人確認が行われた、という意味になります。
Warning
サブジェクトがremembered状態だとしても、サブジェクトが認証されているという意味にはなりません。
Remembered vs Authenticated
Shiroにおける重要なポイントとして、remembered状態のサブジェクトは認証状態のサブジェクトではありません。認証プロセスはユーザが誰なのかを確認するものなのでisAuthenticated()
に対するチェックはisRemembered
よりも厳密なチェックになります。あるユーザがrememberedのみの場合、そのrememberedの情報はおそらくそのユーザのものだろうとシステムに示唆はしますが、実際のところ、rememberedのサブジェクトが現在アプリケーションを使用しているユーザかどうかの絶対的な保証はしません。サブジェクトが一度認証されたら、rememberedのみかどうかをそれ以降気にする必要はありません。その理由は、認証済みの情報は現在のセッションで本人確認されたものだからです。
customized viewsなどのremembered principals*2に基づくユーザ固有のロジックを、アプリケーションの大部分は実行可能ですが、認証処理が正常終了してユーザが正しく本人確認されるまで機密性の高い操作は実行すべきではありません。
例えば、isAuthenticated()
に常に依存すべき金融情報にアクセス可能なサブジェクトの場合、認証済みの情報であると保証するためにisRemembered()
はチェックしません。
isAuthenticatedとisRememberedの違いが重要な理由を例を示しながら解説します。
ここで、Amazon.comを使っているとしましょう。ログインしてショッピングカートに何冊かの本を追加したあと、そのまま何日かが経ちました。当然セッションは期限切れでログアウトしています。しかし、Amazonはユーザを記憶(“remembers”)しているので、ユーザの名前を表示し、本のパーソナライズドされたレコメンドも表示します。Amazonは、isRemembered()
はTRUE
を返すでしょう。ここで、保存済みのクレジットカードの一つを使おうとしたりアカウント情報を変更しようとするとどうなるでしょうか? AmazonはisRemembered() = TRUE
でユーザを記憶しているものの、isAuthenticated()=FALSE
だと、ユーザが本当にそのユーザ本人かどうかは確実ではありません。よって、機密度の高いアクションをユーザが実行可能にする前に、Amazonはログイン画面経由の認証プロセスを強制することで本人確認を行います。ログイン完了すると、本人確認が終了したのでisAuthenticated()=TRUE
になります。
上記のシナリオはwebでは極めて一般的なのでその機能はShiroに組み込まれています。
Logging Out
最後に、ユーザがアプリケーション使用後は、ログアウト可能です。Shiroでは単一のメソッド呼び出しで簡単にログアウトを作れます。
currentUser.logout(); //すべての認証情報を削除してセッションを無効化する。
Shiroをログアウトするとユーザセッションをクローズしてサブジェクトインスタンスから関連付けられた認証情報を削除します。web環境でRememberMeを使う場合で、.logout()
すると、デフォルトではブラウザからRememberMeのクッキーを削除します。
Lend a hand with documentation
Apache Shiroで何かを作る際にこのドキュメントが役に立つことを願いますが、コミュニティが成長すればドキュメントも常に拡張していきます。もしShiroプロジェクトに興味がある場合、必要だと感じたドキュメントの追加・修正・収集をお願いしたいと思います。ほんの少しの助けであってもコミュニティは前進し、結果としてShiroも前進します。
ドキュメントをコントリビュートする最も簡単な方法はこのページ下のEdit
リンク*3をクリックしてプルリクエストをサブミットするか、User ForumあるいはUser Mailing Listに送信します。