kagamihogeの日記

kagamihogeの日記です。

組織を強くする技術の伝え方

営利・非営利問わず、技術の伝承は常に課題だろう。なぜかというと、マッタクのゼロから生まれる技術なんてのはほとんど無くて、ほとんどの技術は積み重ねの上から生まれてくるものだからである。また、革新や創造的な仕事でなくても技術の伝承は必要である。というのも、失敗しないことが重要な仕事も世の中には存在するからである。たとえば、本書で取り上げられている、回転ドアの設計や原発事故の運用手順などはその一例だろう。

本書のオビの煽り文句には「企業の 2007 年問題を乗り越える鍵がここにある」とある。2006/12/10 に第一刷で、2007 年問題が大きくクローズアップされている頃に発行されている。一般的には 2007 年問題は団塊世代の大量退職に伴う技術・人員の消失という切り口で語られることが多い。しかし、筆者はこの問題の本質はもっと根深いものであるとしている。本書の構成は、まず 2007 年問題の本質と技術の定義を切り口とし、そもそも技術とは何なのか、技術を伝えるとはどういうことなのか、なぜ重要なのか、どうすれば伝えるのか、という議論を行い、その次に効果的な伝え方・伝わり方、具体的手法について述べている。

筆者は機械畑の人間なので事例などがそっちよりなので、本書で書かれているアプローチを我々のソフトウェア開発の業界に適用するには若干の努力が必要ではあると思う。とはいえ、結局のところ人間が行う活動、という点においては何ら違いが無いので、技術の伝え方に思い悩む人全般に本書は役に立つと思います。

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)

組織を強くする技術の伝え方 (講談社現代新書)