kagamihogeの日記

kagamihogeの日記です。

Microsoft Tech-Ed 2008 Yokohama のレポート書いていて思ったことなど色々

ようやく Tech-Ed 2008 Yokohama のレポート書き終わりました。各日程で、俺が参加したセッションのレポートは下記からどうぞ。

Microsoft Tech-Ed 2008 Yokohama - 8/26(火) - kagamihogeのblog
Microsoft Tech-Ed 2008 Yokohama - 8/27(水) - kagamihogeのblog
Microsoft Tech-Ed 2008 Yokohama - 8/28(木) - kagamihogeのblog
Microsoft Tech-Ed 2008 Yokohama - 8/29(金) - kagamihogeのblog

Tech-Ed は有償のカンファレンスなので、俺は blog ではどこまで書いていいのかどうか、と疑問を MS の中の人に質問した*1。そしたら「自重しろ」的なことを言われたような気がしないでもないんだけど、どう見ても自重できてません(文章量的な意味で  本当にありがとうございました。

まぁ、でも、アレでもかなり省略してる部分があるし、ソフトウェア使用したデモンストレーションは文章では伝えるの限界あるし、登壇者の生の声といった微妙なニュアンスから読み取れる情報もまた文章では限界があるし……なので、あのくらいなら問題無いじゃろ、Tech-Ed 面白いですー実際にみんなも行ってみたらいいと思うよーな宣伝にもなってるよね……と、言い訳はこのくらいしておけば問題無いかなw

ビジネスマンとしての自重ラインと技術者としての自重ライン

どうやら MS 的にも「外」へどのように情報を出すべきかは悩みどころなように俺は感じる。ネットという、個人でもカンタンに情報が出せる場が出てきたことによって、その悩みようはもしかしたら相当加速してるのではないのだろうか。

というのも、System Center Virtual Machine Manager (以下 SCVMM と省略)のセッションをしていた方の blog で下記のような事が書かれていたから。

ここ2~3年でしょうか、良くいえばちゃんと情報統制がなされるようになりつつあります。

(あくまでも私の認識ですが) もともと日本法人は少ない人数で大きな成果を求められており、自分で情報を抱えてても何も起きてくれないわけで、伝えられる時に伝えておくことで少しでも先に、さらに先に進もうとしていた気がします。

でも、ITは進化し、日本の誰かに伝わるだけで世界中の人が知ってしまう時代になったので、不確定要素の多い情報については「外に出すな」とのお達しがちゃんとでる会社になったわけです。少しネガティブな言い方をすると、一足先に収集した情報も昔のように簡単に言えず、誰もが知っているような状況になるまでは外に出せなくなくなってきています。

(中略)

アンケートに「日本のエバンジェリストが持っている情報はこんなもんか」と書いが人がいましたが、まあそれ以上知っているのですが、仕方がなかったんです。
(エバンジェリストが自ら考えて発する言葉を喜んでくれた方も少なくなかったことだけは付け加えておきます)

(中略)

誰が悪いとか、MSがダメになったとかそういう話ではなくて、時代の流れなのかもしれません。

またこの日がやってきました!! Tech-Ed 2008 Yokohama & Microsoft Management Summit より抜粋

また、同エントリのコメント欄では、blog 主はこのような事も書いている。

会社としては「NDA などの契約によって制御をすれば出せる」という表現になるでしょうが、企業合併・企業統合が当たり前の時代に、「数年後にこのような機能を出します」では遅いこともあるんですよね。

また、新しい技術を生み出すこと以上に「どのようなタイミングで、いくらで提供するか」が重要な時代になってきていて、開発している機能の露出がビジネスリスクに直結する可能性も大きいわけですよ。

経営の数字を見る立場にはないですが、おそらく間違ってはいないと思います。

とはいえ、マイクロソフトが皆さんにとってワクワクできる会社であり続けるためにも、エバンジェリスト(伝道師)である私のミッションを全うするためにも、皆さんにとって有意義な情報はできる限りお伝えしていきたいと思ってます。

またこの日がやってきました!! Tech-Ed 2008 Yokohama & Microsoft Management Summit のコメント欄より抜粋

ビジネスという局面からみると、ソフトウェアというのは手段であって、主従関係の従なことに異を唱える人はほとんどいないと思う。しかし、俺が見るに、Microsoft というのは「あなたのビジネスで当社の製品はこんなことに使えますよ」と「主」の重要性を訴えつつ、自分とこのビジネスは「従」を売る会社、という部分でジレンマを抱えているように、上記の blog のエントリを読んで感じた。

プログラマーをやっていないとわかりにくい感覚かもしれないけど、ある個人や組織がどのような知識・技術を抱えているかは、オープンにすればするほど、フィードバックが集まり、それによって更に発展する傾向がある。最近の Web はホントそんな感じよね。まぁ、dis られまくってネガティブな方向に陥ることもモチロンあるのだけど、ポジティブな方向にフィードバックが走り始めたときの加速感は恐ろしいものがある。

が、しかし。その知識・技術そのもの(「従」)をビジネス(「主」)としてる場合、[競合|強豪] 他社に情報が漏れるというのはトンでもない損失に繋がりかねない。しかし、知識・技術というのはオープンにしたほうが、フィードバックを得てより発展できる可能性もある……そんなジレンマ。

なので、『「どのようなタイミングで、いくらで提供するか」が重要な時代になってきていて、開発している機能の露出がビジネスリスクに直結する可能性も大きいわけですよ。』というコメントは、Microsoft の中の技術者の感覚がかなり凝縮されてるんじゃないだろうか、と思うわけです。

ホントーは言いたいんだけど、自分とこのビジネスを考えると言えない……そんな葛藤。こういう生き方って、言ったモン勝ち and やったモン勝ち的なところのある Web の世界で生きる人にはダサく見えるかもなぁ。でもまぁ、だからといって「MS ダメじゃん」という感覚には俺はならないなー。Need to know じゃないけどさ、情報をいつ・どんなときに・どんな風に出す、ってのを考える続けるのって、ビジネスってのに関わる以上は多かれ少なかれぶつかる問題なのかもなぁ、と感じたので。技術者である or なしに関わらずね。

あーあと「blog でどこまで書いていいの?」って聞いたときにちゃんと答え返ってきたりするあたりが個人的に好感触だった、ってのもあるんだけどw 「個人で blog 書いてるどこぞの馬の骨ともしれんヤツなんか放っておけ」ってなってもおかしくはなかった、と思うからね。

技術情報のレポーティングスキル

俺は、勉強会やカンファレンスに参加したら、出来る限りエントリ書くようにしてる。ただ、自分のレポートって、ものすごく読みにくい文章だ、って何時も思うんだよね。なんでかっていうと、事実と意見がゴチャマゼだから。なので、勉強会のレポートのエントリは、自分用のメモと割り切って、冒頭に「ヘンテコな文章になってる箇所があるのでアンマリ鵜呑みにしないでね」という弁明を必ず載せている。なので、コメントで「ウホッ、良いレポート」等とコメントされると嬉しい反面、心苦しかったりするわけです。

ところで、Tech-Ed 開催中は、毎朝「Tech-Ed 新聞」というペーパーが配布されていた。このペーパーでは、とあるひとりの記者が前日のセッションをいくつか回り、その内容をまとめている代物。そのまとめの書き方が半端じゃなく上手くてですね、スゲェと思う半面、何と言うか、まぁ、その、嫉妬しちゃいましてですね……w

Tech-Ed が毎日終了するのは大体 19:00-20:00 頃。その後に、文章をまとめ、撮影した画像を選別し、紙媒体の大きさに合うように整形、印刷依頼、翌日開場の 09:00 頃にコンパニオンのおねーちゃん達が配れるように手配……

よくよく考えると、あの新聞一枚作るのって、トンでもないタフネスな行為なことに気付いた。それでいてなお、4 日間文章のクオリティが落ちない、というのがすごすぎる。曲りなりにも、俺も勉強会のレポートを blog で書いてる身分なので、そのことがよくわかる。

ちょっと話がズレたけど。俺が「Tech-Ed 新聞」の各セッションレポートはすごいな、と思うのは、技術的なセッションの「事実」を簡潔に書き上げているところ。「事実」と「意見」の区別に関しては 理科系の作文技術 (中公新書 (624)) に譲るけど、俺のレポートが悪文なのは、この「事実」と「意見」をマッタク区別せずに書いているから。まーメンドイから意図的にやってるちゃやってるんだけどw

なので「Tech-Ed 新聞」スゲェなぁ、と思ったわけです。

ただ、それによって、個人が書くという blog の良さも再認識した。あえていじわるな言い方すれば「Tech-Ed 新聞」*2って無味乾燥なんだよね。この性質は出来るだけ広く・多く読まれるためには必要なものではあるけど、無機質な書き方故のツマラナさはあると思う。

手前味噌で申し訳ないが Microsoft Tech-Ed 2008 Yokohama - 8/26(火) - kagamihogeのblog で行われた「コミュニティライトニングトーク」の良さを伝えるのは、こういう形が一番良いかな、と思う。

そして 5 分という時間ぴったりで終了。すごいw

Microsoft Tech-Ed 2008 Yokohama - 8/26(火) - kagamihogeのblog

こんなテキトーな書き方が許されるのは blog *3までだよねー(AA 略

でも、俺という個人にとっては、あの場の雰囲気を伝えるのにこれ以上の文章は無い、と思うのもまた事実なのです。

なので、勉強会でスピーカーが話したりプレゼンテーション資料で示した「事実」と、それらを見て聞いて俺が感じたり考えた「意見」を区別しつつ、アンマリ堅っ苦しくならないテキトーな書き方も織り交ぜる、という文章スタイルについてちょっと考えてみようかなぁ、と思ったのでした。

*1:[http://d.hatena.ne.jp/kagamihoge/20080826/1219758299:title=これ] の冒頭参照

*2:Tech-Ed 新聞に限らず、新聞ってのはそんなモンかもしれないが

*3:twitter もかな。2ch も入れていいと思うんだけど、ある人が過去にどんな発言したのかが事実上辿れないのが泣き所