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kagamihogeの日記

kagamihogeの日記です。

自動車工場のすべて

だいぶ前のことだが仕事で在庫管理系システムのプロジェクトに関わることがあった。倉庫で行われている実作業をある程度知らないとね、ということで一通りの業務をその倉庫の管理者の方に解説して頂いた機会に恵まれたことがある。まず、メーカーやサプライヤーから商品が荷受場に到着して積み下ろしされてくる。モノはサイズやら何やらが様々なので、荷解きをしたりバラしたりして入荷時の検査もする。そのあと、重量物はフォークリフトやらのいわゆるマテハン機器、軽かったり取り扱いがややこしいものは人力で倉庫に在庫の形で積み上げる。んで、クライアントから注文が来ると必要な商品を必要なだけピッキングしてきて、箱に詰める&出荷用の検品をする。あとは運送業者のトラックに積み込んで一通りの流れが終わる。この流れ自体はどこもこんな感じだと思われる。

そのとき印象深かったのは管理者のある一言だった。「倉庫の業務は、一見は在庫から商品をピッキング&梱包に見える。しかし、むしろ製造業の組み立て工場のそれに近いんじゃないだろうか。だから、我々が学ぶべきは在庫管理業務というよりそっちの方かもしれない」というもの。言われてみて、そんで本書を読んでみて、結構的を得ているんじゃなかなぁと思った。ある注文のために倉庫の色んなところから複数の商品集めて一つの箱に詰めるのとか、そのまんまといいますか。

そういう点では学ぶべきところも多いのだが、我々IT産業への応用はちょっと微妙かもしれない。本書のコラムでハッキリと「トヨタ生産方式=量産工場の生産手法」と断定している。生産台数が少なく一台作るのい根本的に時間がかかるモノを作ってる工場には向かないと述べている。業務システムは特に一品モノの傾向があるので、量産工場の生産手法とは決定的に相性が悪いことは想像に難くない。

とはいえ、仕事のやり方や進め方を地道に改善するプロセスや考え方自体は、我々にも充分適用の余地あるように思う。たとえば、本書では標準作業票というものを紹介している。これは、ある作業を手や足の動かし方レベルで秒数まで計測したすげぇ細かいレベルで基準を作るもの。明確な基準があるおかげで、新しい人間を速やかに戦力化できる。また、基準との差異を分析することで更なる改善に繋げられる。が、これを並の感覚のプログラマにやらせたら速やかに逃げ出すことはカンタンに想像できる。これの本質は、基準点と実際の差異から最も効率的なやり方を見つけ出すことで、誰でも同じことが出来るようにすることは副次的効果である。ごくカンタンに言えば、ベテランプログラマと新人プログラマの差が何なのかを分析することに価値はあると思われる。もちろん、頭の中の不可視な世界の動きを科学的に捉えるのはかなり厄介なのは確かなのだけども……

なんにしても、俺が最大に驚いたのは製造業(本書はトヨタ自動車工場の本だが)は決して単純作業の塊ってわけではないことである。激烈な創意工夫の上に成り立っている、という事実は中々に衝撃的であった。

自動車工場のすべて

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