kagamihogeの日記

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スマホ、タブレットが変える 新IT医療革命

ソフトバンクの孫さんと医療関係者の対談形式で進んでいく本。医療現場におけるiPhone,iPadの活用事例を示しつつ、日本の医療の問題点と改善案を出していく、という流れなんだけど、ソフトバンクさんはiPhone,iPadを医療分野に売り込んでいきたいんだなーという思惑にどーしても読めてしまうのが世知辛い。日本の医療のために、とか大義名分抱えんでも、ボクらスマホ売りたいだけなんで、と書かれた方が余程清々しいんですが……というのは斜めに見過ぎですかねぇ。この本読んでると、クラウドって単語が一人歩きしまくりで、スマホとクラウドでヘブン状態の黄金卿への扉が開かれるかの如く語られており、割と恐ろしい。

とはいえスマホの活用事例集としてはそれなりに面白い。まだまだ小規模だし、現場レベルから上がってきた要望を現場レベルで改善してみました的な物が多く、革命と呼べるような段階になってるようには俺には見えなかったけれど。

しかし、安く調達できてネットにも簡単に繋げてという汎用なタッチパネルのデバイスは、医療の現場では重宝されてるんだろうなぁ、ということは分かる。院内をアチコチ移動して回る医師や看護士にとっては、かさばる紙を持ち歩くよりiPad一個の方が便利そうだなぁというのはなんとなく分かる。また、テキストだけでなく画像や動画も一緒くたに閲覧できるように情報へのアクセス性を高めれば現場でやれる事が増えるので、効率化に寄与する、というのもある程度は説得力がある。

色々と理想論がふんわり語られる本書ですが、技術的な裏付けもソレナリにあるので、理想的な環境の実現まではラストワンマイルといったところでしょうか。なんでもかんでも個人の医療情報をネットの向こう側に保存となると、セキュリティ的にクリアするポイントも多いんでしょうが、恐怖心より便利さの方が上回ってしまえば普及してしまうので、そこはまぁ何度か爆破炎上させて前進させていく心持なんでしょうねきっと。

むしろ既存のベンダーのシェアをどう奪っていくかといいますか、そっちの政治的な側面の方が厄介そうな気がしますが。モノ的には、スマホとgoogleとかの適当なWebサービス使えば情報共有の枠組みに収まることならかなりの事が出来てしまう昨今、スマホの端末売ってはい終わりだけではビジネス的にあまり旨味が無さそうな感じがするんですが、どうなんでしょう。なので、病院の基幹系をガッチリロックしてるであろうベンダーの間にどう食い込んでいこうとしてるのかが、外野的にはおもしろポイントなので、今後の動向に期待したいところです。

スマホ、タブレットが変える 新IT医療革命 (アスキー新書)

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