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kagamihogeの日記

kagamihogeの日記です。

プロセッサを支える技術 果てしなくスピードを追求する世界

今日のフツーのWebアプリケーションを書くようなプログラマにとって、プロセッサの中身に気を払う必要はほとんど無くなった。俺はメインの言語がJavaなんだが、コードを書いているときにプロセッサの挙動に気を配って書くようなことはまずないと言っていい。そのくらい、プロセッサの立場というものは空気のような存在になってきたといえる。とはいえ無くなったわけでもないし、プログラムは相変わらずCPUの上で実行されることには変わりないので、本書の知識が無駄になることはないだろう。

題名とやや厚めの分量に気が引けるかもしれないが、読むための敷居はそう高くはない。実際のところ俺のプロセッサに関する知識は旧2種の教科書的な定義とはじめて読む8086―16ビット・コンピュータをやさしく語る (アスキーブックス)に毛が生えた程度だが、そんだけでもかなり楽しく読める。プロセッサの過去から現在、あんな小さなチップにも関わらず深遠で広大な世界が拡がっていること、果てしなき高速化への道のりとその具体的な成果物の様々な手法、なぜマルチコア化が進んでいるのか、仮想化テクノロジとの関連まで、内容は多岐に渡る。どれもそれなりに高度なトピックを扱っているにもかかわらず、非常に読みやすく書かれている。この辺りに著者のプロセッサに対する高い技量だけでなく、様々な人たちに知識を広めたいという情熱も伺いしれる。

個人的に驚かされたのは、プロセッサの世界はまだまだ進化の余地が幾らでもある、ということだった。マルチコアで名目上の周波数向上が以前ほどでなくなったこともあり、無意識的にプロセッサまわりは枯れてきたのかなぁ、という漠然とした印象を抱いていたのである。実はそんなことはなく、例えば3Dグラフィック演算にはまだまだ処理能力が足りない分野でありその副産物としてGPGPUが登場したことや、いわゆるスーパーコンピュータも当然似たような状況にある。また、スマートフォンの台頭で、より小型で低消費電力で高機能なものが求められていることなど。技術の進歩が市場を作り、そして成長した市場が更なる要求をして技術の進歩を促す、という関係はとても興味深い。

消費電力的な意味でも内容の豊富さでも熱い一冊なので、プロセッサの中身ついてちょっとでも興味のある方にはオススメの一冊です。

プロセッサを支える技術  ??果てしなくスピードを追求する世界 (WEB+DB PRESS plus)

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