kagamihogeの日記

kagamihogeの日記です。

軍事とロジスティクス

時々兵站関連の本読みたくなる病にかかるので、今回はこの本を手に取って見た。基本的には、イラク戦争・湾岸戦争・アフガニスタンの戦いにおける米軍のロジスティクスの実態と分析がほとんどを占める。時々イギリスとかNATOとかの取り組みについての記載もあるにはあるけど、ほぼ米軍についての記述が大半をしめる。そんだけ世界における米軍の軍事力の地位が高いってのと、現代の軍事とロジスティクスを考える上では見るべき点が多いってことなんでしょう。

俺は軍事評論家でもなんでもないんで本書の地位とかはまぁよく分かりませんが。この本読んでて面白いのはアチラコチラにトレードオフが見られる点です。第三章では軍事における色んな業務が民間委託されている実態について触れられています。アウトソーシングによる経費節減が主目的なわけですな。米軍から下請された民間業者が現地で建設や輸送に従事させて雇用を増やし地域の安定化に寄与するなどオマケ効果もあるなどは面白いところです。しかし、民間業者なので危険地域に行くの渋って補給物資が前線に届かなかったりと通常の軍隊の上意下達な指揮系統ではありえないことが発生したりと、そう事は安く済まなかったりしているようです。

ゲリラ戦術によるトラックの被害もバカにならないようです。RPGでの直接攻撃から地雷による起爆まで色々。元々対戦車用の爆発成形弾型地雷まで使われた事例まであったりと、ゲリラという字面からは想像できないほど高度化しているようです。無論米軍も手をこまねいているわけではなく、事前に輸送ルートの安全確保をする専用の車両や部隊を編成したりしています。ただ、輸送にかかるコストというのもこれまたバカにできない。トラックを重装甲化すればそれだけ燃費や積載量に響くし、護衛車両をつければやはり応分の費用がかかる。

陸路がダメなら空路はどうか。よほど低空を飛んだりヘリでなければ対地ミサイル等の攻撃を受けることもなく高速に運搬でき、GPSの進化でピンポイントに落下させることも可能になったりと、空輸は比較的融通の利きやすい経路のようです。しかし良いことづくめでもなく。航空機はトラックや海上輸送に比べるとべらぼうに燃費が悪いし、一度に運べる量にも限りがあるし嵩張るものは余り運べない。航空機技術の進歩でやれることは増えていく傾向にあるものの、根本的には大量に物を運ぶ手段には適さないことが読み取れます。

そういうわけで、大量の物資を一気に運ぶのは船舶輸送が一番というのは古来より変わらない。トラックや航空機と隔絶する桁違いな積載量と輸送コストの面でも最も効率が良い。更にコンテナ技術の進化により規格化が進んだことでよりスムーズな輸送が可能になっている。ただこれもやはり一長一短で、大型船舶なほど輸送効率は良いものの港湾設備が船舶に見合ったものが無いと接舷出来ないなどの制限がある。

軍事とロジスティクス

軍事とロジスティクス