2011/3/11の大地震の後、みずほ銀行は大規模なシステムトラブルを発生させた。本書では、あのシステムトラブルは何故発生したのか、どのような現象が発生し、そのときみずほ銀行はどういった対応をしたのか、が記者の眼から記されている。
日経コンピュータが出版している本なので、どちらかというとスーツ的というか経営者とかユーザ企業のシステム部向けに書かれているため、一介のプログラマとしてはあまり読む価値は無い。ただまぁ、あの一連の騒動を当事者以外の人間が俯瞰的にまとめた歴史的読み物としては読んでみたかったので手を出してみた。
とりあえずの感想としては……これほど胃が痛くなる本はないっす。本書の性格上、技術的な仔細には突っ込まず、外部から観測・検証可能な事実の列挙が中心なので、果たして実務レベルでどのような地獄絵図が巻き起こったのかは想像するしかないのだが……現場の苦労はお察しというヤツである。
なぜあのような大トラブルが発生したか。本書の結論では、経営層レベルにITを理解できる人材の不在、プロジェクトマネジメントの不在*1を挙げている。今回のトラブルの下地は、みずほ銀行が三行統合したところから始まっている。当然三行のITシステム統合という強烈な大仕事が待ち受けているわけだが、これが上手く回らなかった。トップダウンで強引にプロジェクトを推し進められる人材を据えることが出来なかった、のを日経コンピュータは敗因としているわけです。まぁ、確かに、得てしてこのテの任務の要は、技術的な難易度よりも絶対に逃げないタフ野郎のクビねっこを抑えられるかどうか、って問題になるからねぇ……
なんちゅーか、金融系こわいっすね!(胃薬を飲みながら) という一冊でした。
- 作者: 日経コンピュータ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2011/07/28
- メディア: 単行本
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*1:かなり広い意味でのPM。めんどいので詳しいことはこの本読んで下さい