本書は、Scala の持つ今まで関数型言語由来の概念の学習を補助するための本である。前書きに書いてあるのだが、この本は読者を Scala が使用可能な水準に引き上げるための本ではない。とりあえず Scala を使えるようになりたい、という人向けの本ではない、という意味である。
Scala をマッタク知らないで読んでも得る物はあるとは思うが、出来ればかるーくさわった後の方が良い。というのも、俺は Scalaプログラミング入門 - kagamihogeのblog である程度 Scala の初期導入を済ませていたから、本書は役に立ったからである。先述の「Scalaプログラミング入門」を教科書とするなら、コチラは参考書というか副読本というか、そういう位置づけになった。
「Scalaプログラミング入門」は名著なのだが、如何せん俺のように関数型言語が未経験の人間には結構キツイ側面がある。「Scalaプログラミング入門」は、如何に簡潔な説明で Scala を読者を使用可能な水準に引き上げるか、に重きが置かれているように見受けられる。そのため、Scala の持つ独特の―それは多くの場合、関数型言語由来の―概念に対して、どういう性質を持つかについては詳しく解説されない。まぁつまりは、分かる人にはこの程度の量で充分ということなんだろうけど……
というわけで本書の出番である。関数型言語から来ている色々な概念の理論的背景や、それがあるとどう嬉しいのか、などの解説が、Scala のサンプルコードを通して解説されている。関数型言語初心者の俺には、あーナルホドーと思う箇所がちょくちょくありました。最初にも書いた通り、この本読んだからといって Scala が使えるようになるわけではないんだけど、Scala の理解を進めるには良い読み物でした。俺はまだ現実に Scala を要求されてるわけでなく、まだ個人的な興味というだけで Scala に接しているので、その側面からも良い刺激になる本でした。
あと、これはヒジョーにどうでもいいことではあるが「○○脳」ってタイトルは釣りっぽいというか、胡散臭い感じがするというか。書店で中身ぱらぱらーっと読んで「これは俺のレベルに合ってそうだから買うか」という判断が出来たけど、書名だけだったら確実に避けてた気が……
オブジェクト指向プログラマが次に読む本 ?Scalaで学ぶ関数脳入門
- 作者: 株式会社テクノロジックアート,長瀬嘉秀,町田修一
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2010/11/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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