kagamihogeの日記

kagamihogeの日記です。

勝つ投資信託 良いファンド悪いファンドの見分け方

内容をぱらぱらっと見て、投資信託の勉強の 2,3 冊目の教材として良さそうなので購入した。内容は、なぜいま投資信託を学習する必要があるのかを枕に置いて、投資信託の各アセットごとの特徴や傾向とメリット・デメリット、それに続けて投資信託のリスクとリターンの関係性の解説と続き、最後に各年代ごとのポートフォリオ例を示して終わり。買うべき投資信託商品はコレみたいなモノは一応記してはいるものの、あくまでも筆者の視点と本書で記載したロジックに則って正しいと言っているに過ぎない、とちゃんと書いてあるあたりソレナリに好感が持てる。若干書名が煽りくさいが、これは筆者がファイナンシャルプランナーで、本書は自社サービスの宣伝の一環でもあるようだから、致し方ないところか。

なぜ投資信託を学習する必要があるかについて、本書では、最早我々はマネーの流れと無関係には生きてはいけないことを指摘している。実体経済と金融の関係がどうなっているかはともかく、金の流れという実体の無い動きが時として我々の雇用という実体を脅かすことも充分あり得ることは事実なわけで。まぁかといって大きな流れに逆らうのは個人ベースでやれることは殆どないとはいえ、知らないよりは知っていたほうが恐怖感も少なくなるよね、というのが本書の導入部。そして、それを踏まえた上で、恐ろしいからと手を引かず折角だからその金の流れを上手く活用するべきだ、というのが本書のスタンスである。

次に、株式や債券(国内・海外・新興国)、REITコモディティに ETF といった投資信託商品の各分類ごとの解説が続く。どういうときに値が動きやすいのか、どのような特性を持っているか、などの基本的な知識が書かれている。ここらあたりは、証券会社のサイトや解説サイトを見れば分かるとはいえ、やはり本でまとめて解説されているのはありがたい。

それに続けて、選ぶべき投資信託の話に入る。本書では、この投資信託を選べば絶対に外れは無い……というような話は書いていない。いくつかの指標−特にシャープレシオを筆者は推奨しているが−と、過去数年から数十年の実際の投資信託の動きを見ながら、投資信託の商品の良い悪いの見分け方を示している。しかしながら、まぁぶっちゃけ、自分自身の資産を鑑み、取れるリスクと希望するリターンを考慮しつつ、自分にとってベストな選択肢を探す以外に正解は無い、と書いてあるわけです。ただ、未来のことなんて誰にも分からないわけで、それりゃそっすね、といったところです。

じゃあ本書を読む価値は無いのかというと、投資信託の初級者は読んで損は無いと思います。何も知らずに余裕資金をぶっこむよりかは余程マシというか、投資信託に対する基本的な考え方を学ぶ本としては結構良い本だと思いました。本書の最後でこう閉めているのも個人的には好印象でした。

つくづく感じるのは投資におけるリスク・コントロールの大切さです。そして、長期分散投資を旨とする限り、このリスク・コントロールには「理性」と「忍耐」と「科学」が必要になる、というのが変わらぬ私の持論です。

勝つ投資信託 良いファンド悪いファンドの見分け方 (朝日新書) おわりに p.198 より抜粋

下手に「儲かる投信はこれです!」て言わずに、スタンスを明らかにする姿勢はすごいなーと思いました。

勝つ投資信託 良いファンド悪いファンドの見分け方 (朝日新書)

勝つ投資信託 良いファンド悪いファンドの見分け方 (朝日新書)