kagamihogeの日記

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アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

このエントリは該当書籍の感想ではないです。何を書いているかというと、本書を読んで思い出したこと・感じたことです。なので、本書で何が書かれているかについては触れていません。その辺知りたい方は申し訳ないですが別の書籍感想を当たって下さい。

子育てレトロスペクティブ

ここ数年、俺が実家に帰省して母親と話すとき、どういうわけか高確率で話題になるトピックがある。そのトピックは、子育てについて。母が俺に対して、俺という息子をどう育てたか・どのような教育を施したか、ということを話すのです。

母が息子である俺に対し「私はあの時こういう想いであなたに対してこういう態度や言動を取った。その結果、あなたにどういう影響が出て、どういう風に育ったのか。また、その時あなたは何をどのように感じたか」というようなことを聞いてくる。まぁ実際はこんな詰問調じゃないけどw 文章にまとめるとこんな感じです。

で、その質問というか疑問?に対して俺も反応を返す。基本的な軸は 2 つで、事実と感情についてを話す。事実は、母親があれこれと行ったアクションが今の俺の思想や人格形成にどのような影響を及ぼしたか? を考える。感情は、母親がアレコレやったことに対して、イラッ☆と来たとか、嬉しかったとか、これはひどいとか、率直な感想を述べる。

実際どんな感じのやり取りが行われるかというと。たとえば、母は俺に「私はあなたに芸術分野に興味を持ってもらいたかった。そのため、あなたが小さい頃によく美術館・博物館・科学館に連れて行った。けれど、中学・高校になるにつれても芸術分野に興味を抱くことはなかった。となると、あれらの行動は意味の無い行動だったのだろうか」みたいな。文章にするとなんか恐ろしいなぁ……w

でまぁ俺のレスポンスですが、まずは事実について。「確かに俺は子供の頃は芸術に興味を抱くことは無かった。しかし、俺が就いているプログラマという職業は時として創造的な発想を要求されることがある。そのため、美術館などに行ったことは、俺がコンピュータに興味を持ち、プログラマになるまでに至った経緯に何らかの影響は及ぼしていると思う。また、blog を書くことも広義の表現活動と捉えれば、幼少期のそうした経験は俺の思想形成に一役買っていると思う」 だいたいこんなようなことを言っていたように思う。ただし、一息にここまで発言したわけじゃないし、口語表現では「思想形成」なんて言いにくい単語使うわきゃないけどw

もう一つの軸、感情について。こっちはサラッと「そんなこともあったっけ」程度でした。ムリヤリ連れ出されてイライラしたとか、スゲーわくわくしたとか、美術館などに行ったときには感情が振れることはあんま無かったっぽいです。記憶としてそういえば美術館とか行ったなぁ、というのはあっても、そこから何らかの感情が紐付けて出てこなかったんですよね。ガキの頃は特に感性?感受性?が弱かったっぽいですねぇ。

こうして文章にしてみても明らかだけど、事実の軸について話すことが多い。でも、感情をきちんと問うのも大事かな、と思ってる。「人は論理により説得され、感情により動く」 生き物なので。子供でもそれは同じだと思うのですよ。つってもまぁ、実際に話してると事実か感情か、って明確に区別して話してるわけじゃないけど。おおざっぱな区分です。

こうした「ふりかえり」を母親としていると、両親は相当な手探りの中で子育てを行っていたのだな、ということに気付かされる。あの時あれを言うべきだったか、言わないべきだったか、自由にさせるべきだったか、制限するべきだったか……などなど、今だからこそ話せるだろう事柄を色々と聞くと、本当にそう思う。美術館のくだりだけでも 30 分か 1 時間かそこら話してた気がするしなぁ。子育てというのは、動的というか発展的というか、こうすればこうなるという静的な性格は少ないのかもしれない。まー俺は独身だから虚構の共感ではあるのだろうけどw

ただ、このエントリで挙げた俺と母のふりかえりアクティビティはリアルタイムの子育てには向いていないと思う。実際、既婚者にこの話したとき「そんな怖いことできねぇよw」って反応だったし。子供側の自我が安定した、というか、社会人になったからからこそ出来るのだろう。子供の頃に母親に直球であんなこと言われたらキレるんじゃなかろうかw

子供がある程度成長してないと、子供 vs 母親の対立構造に陥っちゃうと思うんですよね。俺と母親が子育てレトロスペクティブしている最中は、俺と母親 vs 子育て問題、という構図が成り立っている。だからこそ、議論が出来ている。アジャイルとかファシリテーションとかの文献でも良く書かれている、メンバ vs メンバ ではなく、チーム vs 問題という構図を作るのが重要だ、と書かれてるのに似てる……ような気がしている。

なので、本書で書かれてるようなふりかえりやファシリテーションの技術は子育てという長期プロジェクトにも実は有用ではないか、とか思っちゃったりするわけですよ。夫 vs 妻っていう対立の構図じゃなくて、夫妻 vs 子育て問題っていう構図に持ち込むために。まぁ俺は独身なので机上の空論ですがw

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き

アジャイルレトロスペクティブズ 強いチームを育てる「ふりかえり」の手引き