kagamihogeの日記

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孤独のグルメ 【新装版】

個人貿易商・井の頭五郎、通称ゴローちゃん*1が自身の仕事であちこちと移動した際に、何かしらの昼食や夕食を外で食べるのを淡々と描く。ホント、ただそれだけのマンガである。特にこれといって劇的な展開や盛り上がりがあるわけでもなく、強烈なオチがあるわけでもなく、ゴローちゃんがメシを選んで食って「うまい」「失敗した」とかボヤくだけ……だけなのだが、これが非常に面白い。

作中でおおよそゴローちゃんがメシを選ぶタイミングや切欠というのは、ただ単に腹が減ったので何か食べたい、というもの。アレが食べたいなぁ、今日は○○な気分だ、この店にしようか……などと、何でもいいから腹を満たしたいといいつつ、胸中ではアレが食べたいコレが食べたいとぐるぐる考えてる様がとても面白い。そして、メニューを場当たり的に決めるからなのか運が悪いのか、おかずの品がダブッたりつい頼みすぎてしまったりするのだが、その辺りのあちゃーやっちまった感が人間臭くて良い。食べるメニューも有名なメニューというわけでもなく、ふらっと立ち寄った定食屋とかそういうのを取り上げてる点もまた風情がある。

このマンガは絵も独特なのだけど、ゴローちゃんがうまいものを食った時のホントーにメシが美味そうな表情はこっちまで腹が減ってきそうなほど人間味に溢れている。かといって、何か印象に残るようなセリフを吐くかというとそうでもなく、割と素朴な表現をすることが多い。なのだけど、かえってその方が印象に残るというのはどういうことだろう。ああ、まぁ、人間火力発電所とかここはカラシニコフなめこ汁で決めよう、とかそゆのは別としてw

背景の書き込みもこれまた細かくて、どうにも漂ってくる昭和臭が余計に作品のハードボイルドというよりはむしろ胡散臭さwを際立たせている。この作品の中で出てくる場所で俺が実際に知ってるのは江ノ島と秋葉原ぐらいか。秋葉原は作中とは随分と変わってしまったけれど……俺はドネルケバブかサンボ、かなぁw(文脈がおかしい)

食事ってのは、ただそれだけで娯楽というかエンターテイメントというかコンテンツというか、たのしむものになり得る、ってことなんだろう。たぶん孤独のグルメが面白い理由って理屈じゃないんだろうな。

孤独のグルメ 【新装版】

孤独のグルメ 【新装版】


下記の孤独のグルメの紙芝居風動画が良く出来ているので、どんな作品か知りたい方も孤独のグルメファンも是非どうぞ。

*1:ネット上での本作品のファンの間での愛称だが