kagamihogeの日記

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自転車の安全鉄則

東京で自転車通勤、と聞いて人はどのような感想を持つだろうか? 俺は、そんなのムリだと決め付けていた。だが、ある機会に実際に自転車通勤をしている人と話したことがあり、思い込みを恥じたことがある。自転車通勤は現実的な選択肢であり、様々なメリットがあることをその時に教えられた。

話を聞かせて頂いた方の通勤時間だが、4,50 分ほど。関東圏の人間の電車通勤時間はだいたいこのぐらいか、これ以上だと思う。なので、現状で通勤時間が一時間程度の場合、時間的にはそれほど変わらない通勤時間を実現できるようだ。また、通勤ラッシュを完全回避できるという素晴らしい恩恵が受けられる。しかしながら、ホントにそんなに早く移動できるのかよ、と疑いたくなる。それは、自転車というとママチャリをどうしても思い浮かべてしまうが、都市での高速走行用の自転車を使用することで可能になるようだ。価格はおおよそ 7 万 - 10 万程度。初期投資が高いなぁ、と感じるかもしれないが、通勤に自動車を使うケースと比べれば相当に安い。トドメのメリットとして、健康にとても良い。自転車はカロリー燃焼に効果的なようで、メタボ対策としてかなり有効なようだ。

とまぁ、自転車を効果的に運用することには多大なメリットが存在する。個人だけでなく国家レベルにも。自動車から自転車へ乗り換えが進めば、化石燃料への依存性減少、渋滞・大気汚染の解消、国民の健康状態改善による医療費削減などなど。夢のような話だが、自転車先進国のオランダなどではこうしたメリットが本当に実現できてしまっていることが本書に書かれている。

そこで日本の自転車事情についてだが……本書によると、どうにもまだまだお寒いモノがあるようだ。行政や法律のあり方もそうだが、国民に対する啓蒙も不十分。いやまぁ、自分も本書読むまで知らないこと沢山あったぐらいなんだけど。

たとえば、対面通行の危険性について。車道の右側を走行する自転車は、対面衝突時のエネルギーがすさまじく、即死の可能性がとても高いそうだ。細かい議論は本書に譲るが、著者によると、自転車の左側通行厳守だけでも今すぐ実現すれば、年間約 400 人の命が救える、とある。つーか 1 日 1 人は自転車事故で死んでるんだね……

本書は、日本の自転車がどうあるべきかの理想論、悲愴的な現状、そしてどのような手が打てるのか・打つべきなのか、がまとめられている。自転車による都市交通のあり方について興味のある方は手にとってみてはいかがでしょうか。

自転車について非常によくまとまった良書だが、ちょっと気になった点がある。俺だけなのかもしれないが、ちょっと著者の感情が出過ぎてるかなぁ、と。本書からは、著者の自転車を強く愛し、日本にも自転車交通の文化を根付かせたい、という強い熱意が感じられる……のだけど、少々私怨とも取られかねない記述があるように感じる。こういうのは淡々と綴るのが効果的なんじゃないかなぁ、と思うのだけど。どうなんだろう。読み物としての面白さを優先したのだろうかね?

自転車の安全鉄則 (朝日新書)

自転車の安全鉄則 (朝日新書)