kagamihogeの日記

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風俗お作法

風俗とか性産業と聞いて人が抱くイメージはそれぞれだろうけど、ネガティブ寄りの感覚を抱いている人は多いのではなかろうか。実際のとこ、俺自身も「女性が身体を売り物にする場所」みたいな偏見に近い視点を持ってるのは否定できない。でまぁ、実際どうなのかというと、本書によると高度な能力を必要とされる職業なことが伺えるし、一つの産業として成立してしまうのにも頷ける理由に溢れている。

本書は、風俗・キャバ譲向けのアドバイス本としても書かれてもいる。そこで書かれているのは、自分の顔やスタイルや性格など諸所の要因を踏まえ、どういう働き方がしたいのかを良く考えよ、と書かれている。また、地域特性やお店によってもカラーがあるので、一つの店でダメだったからといって、他の店でなら通用する可能性はいくらでもある、と論じている。多少極端ではあるだろうけど、本書によると風俗産業は 50 とか 60 代でも食っていける場所なのだそうだ。

無論、そうあるためには自分が提供可能なサービスとは何か? を考え続けることや、それを発揮可能な場を探すことや、あらゆる方面でのテクニックの研磨が必要なのだけど。でも、そのことってどんな職種でもそんなもんじゃないの、と思うから、その点に関しては風俗産業は特殊な職業では無いのかもしれない。女という性を売り物にする点は特殊かもしれないけど、ウチらの職業もソフトウェアを作るという職人芸的要素以外は何気に人が働くということとは何なのか、という議論に落ち着いたりもするので。

ただしイケメンにかぎる―この場合は美人と書くべきだけど―かとも思うが、美人やスタイルの良さだけが売上の分かれ目ではないことは、ハッキリと書かれている。この業界美人は得かどうか? も興味深い議論が行われており、各種事例について紹介している。その辺を読んでると、風俗産業について書かれてる本ということをさっぴいてしまえば、コミュニケーションについて論じてる本を読んでる気分になってくる。

なので、ビジネス書とかコンサルタント向けの本とか自己啓発系の本とかと似たような記述がちょくちょく出てくるのが面白い。「仕事のおもしろみに気づくと能力が引き出される」なんてタイトルの節があって、とてもじゃないがそんなタイトル名から「風俗産業において指名を取るためにはどうすべきか?」というテーマでの論述だとは思えないですよね。

まぁそうはいっても「風俗に行くようなヤツは人間のクズ」と言う人はいるだろうけど、そう思ってる人ほど読んで欲しいなぁ、と思う。そうでなくても、単純に性的な意味でもカナリ面白い一冊です。

風俗お作法 (てぃんくるbooks)

風俗お作法 (てぃんくるbooks)