『アンティーク』と呼ばれるふしぎ系アイテムを巡って死に掛けたり死人が出たりする騒動を描くラノベの 3 巻。今回は、入れたものの時間と状態を固定化してしまう箱、人そっくりに動作する人形とネジ、夢を自分の意志どおりに展開させられる香炉、という 3 話プラスお約束の男女スレ違い話 1 つの構成。
印象に残ったのは、夢の中で自在に振舞えるようになる香炉、の話。
俺の場合、精神的に疲れたりダメージを受けたときに見る夢というのは、パターンが決まっている。俺にとっての悪夢とは、そういうときに見る夢とほぼ同義。
それはどういう夢かというと中学時代のハナシ。詳しいことは書きたくもないけど、まぁ、色々とツライ時代だった。面白いことに、この夢は状況は違っても登場人物だけは必ず固定している。傑作だったのは、場所は大学のキャンパスなのに窓から見える景色と教室の中だけは中学というカオスな状況に中学時代の同級生が現れて、まぁ、その色々やっちゃってくれるわけです。
でまぁ、悪夢を見たときはマンガみたく汗びっしょりとか飛び起きるとかするわけです。そのくらい当時の記憶は俺にとって相当な痛みとして残っているわけで、そいつをナントカできるんならナントカしてみたいなぁ……と感じたわけです。
ただ、もしその『アンティーク』とやらが手に入ったとしても使わないだろうなぁ、とも思う。作中のように恋人とか家族が死んだってほどシビアなものじゃない、ってのもあるけど、十数年経ってやっと受け入れられるようになってきたのよね。
なんというか、あの経験があったからこそ今の俺があるんだろうなぁ、みたいな。諦観とも取れるんだけどさ。俺としては、やっと受容できたなぁ……という感覚に近い。
なんでそんな風に心境が変化していったのかはわからないけど、人間って意識的に変えられるものもあるし、無意識的にも変わっていくものなのかもしれない。そんな風なことを思った一冊でした。
- 作者: 御堂彰彦,タケシマサトシ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/10
- メディア: 文庫
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