Fate/stay night を知る我々読者には、既に絶望的な終局がわかりきっている物語の最終巻。最後までまったく衰えることのない怒涛の展開には、ただひたすら押し流されるようにページを進めるしかない。これだけの分量をほぼ一息に読み終えたのは何の作品ぶりかわからない。このシリーズを手に取った人の大半は一気に読破したのではないだろうか。そう思わせるほど文章から伝わる熱が圧倒的。
それにしても登場人物は誰も彼もが覚悟完了し過ぎ。消え行く運命なことが既に分かっていても、読者置いてきぼりでガンガンに散りまくっているように感じるくらいに。最後は当然、自明の終局を迎えるわけだけれど、その後にある種の救いがあることがわかっているからこそ、余計に物語世界に没頭できるのだろうか。
Fate/stay night が発売された頃、士郎くんの余りの青臭さに途中で読み進めるのを投げていた時期があった。が、父親であるキリツグがあれだけ苛烈な半生を送り、かつ余生がアレでは……。あんなの（失礼）の下で過ごせば、そりゃまぁものすごい勢いで斜め上に真っ直ぐ育つわなぁ。
どこで耳にした話が失念したが、これは フェイト/ステイナイト［レアルタ・ヌア] extra edition を買いに走らざるを得ない。
