東海豪雨、2007 年の猛暑等、気象に関するトピックを一つずつ解説している本。今年(2007 年)の話題が比較的多いので、とっつきやすさはあると思う。いくら被害が甚大だといっても伊勢湾台風とか経験してるわけじゃないしね。それよりも、9 月頃の台風による決壊寸前の多摩川や茶色く濁ったまま中々水が引かなかった様子のほうが心に残っている人は多いんじゃないだろうか。
多摩川が比較的身近な存在としては、あの台風の爪あとを見て異常気象という言葉を感じずにはいられない。ただ、本書は何をもって「異常」とするのかは簡単に決められるものではない、と説いている。気象というのは様々な要素から決定されるダイナミックな現象であり、それが自然に起きたものなのか 100% 人為的なものなのかを判断するのは難しいものだという。ウン万年という単位でみれば大陸も移動してるわ氷河期なんていう時代もあるわなわけで、そういうスケールで見ると、単に目の前で起きた劇的な出来事を見て「異常だ!」と言っていいものかしらん、といったところらしい。
ある局地的な気象メカニズムが完全に解析できても、個々の要素群がどのように関連しあって、結果どのような現象が起きるのかを予測するのは難しい。これは何も気象に限らず人体などの動的なシステムであればフツウなことなのだけど。
面白い本だとは思うのだけど、内容に関してではない一つきになる点。数ページごとにコロコロ扱うトピックが変わっていき、前の節との連続性がアンマリないように感じた。俺がそういう書き方の本に読みなれてないせいか、ブツ切り感があってどうにも読みにくかった。
- 作者: 森田正光
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/10/19
- メディア: 新書
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